ヤン・キンダーマンスは15年近くRSCアンデルレヒトの技術委員長を務めている。言うなれば、この男の下でロメル・ルカク(インテル)、ユーリ・ティーレマンスやデニス・プラート(ともにレスター)のようなスターが生まれたのだ。
――数年前、クラブはどのように情報を共有していたのですか。
2005年まで、マッチレポートは紙ベースで、選手たちの評価もノートあるいは口頭ベースで行われていました。デジタルの力を借り、これらのプロセスを見直したいと思っていました。
――「デジタル」はどれくらい重要ですか。
一つの同じデジタルプラットフォームを使うことによって、アカデミーでの異なる活動を一元化することができます。PSDは常に信頼できるツールですし、ともにクラブの歴史を築いていくものとも思います。このプラットフォームは指導者により多くの経験をもたらします。また、過去としっかり向き合うことによって、今後起こりえることをより正確に予測することができます。
――優れた選手を見つけ出すという意味で、PSDはどんな役割を担いますか。
全てのプロセスがよりしっかりとした手順で行われるようになった。PSDのおかげでスカウティングがだいぶシンプルに、簡単になりました。スカウト担当のプランニングから、選手を獲得するまでにいくつの段階を設けるかまで、全てを同じプラットフォームで管理できるのは大きいですよ。
自分たちにとって、PSDの導入は間違いなく前進です。なぜなら、スカウト担当が書類や写真、プレー動画など、あらゆる形で選手の情報を集める中、それら全てをPSDにストックしておくことができるからです。いろいろな情報があれば、スカウト会議もはかどるというものでしょう。
――スタッフが競技関連の判断を下すとき、PSDをどう活用していますか。
スタッフにはいつも、「データを使って知識や経験、自分たちが見てきたものをサポートしてもらおう」と言っています。われわれの記憶力には限りがあり、数千人の選手の特徴を覚えるのは不可能です。だからこそ、全ての情報をPSDで一元化し、例えばスカウティングレポートを選手獲得の際の「参考書」として使うわけです。このやり方が、これまでアンデルレヒトを成功に導いてきたと言っていいと思います。
――PSDのどの機能を最も重宝していますか。
たくさんの機能を搭載しているので、いつ、何を見るかによります。月曜日はたいてい、コーチ陣が提出してきた試合レポートに目を通し、火曜はスカウト会議に備え、スカウティングレポートをざっと読みます。水曜日は選手たちの動向(加入、移籍、昇格)を確認して、スタッフの報酬を考えます。このように、基本的なことだけでもやることは山ほどあります。ビデオ機能も興味深い。近年、われわれは数多くの試合や練習の動画を蓄積してきました。話を戻すと、日々、活用している機能が多すぎて、「この機能」と特定するのは難しいです(笑)